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ある一人の人のことがどうしても忘れられない。
とかいうのも、昔はあった。
その原因が、好きとかだったのではなく、
強烈に深い足跡をべたべたと踏みつけていったもんだから、
なかなか、真っ平らにならなかっただけだな、と今思う。
たまに、均してる自分に気づいた時、
また自分で足跡をつけてぼこぼこに戻したりする。
結局、めんどくさいのがすきだったのだ、と今思う。
無性に、ずっと昔の恋愛が懐かしく、愛おしくなったりした。
ああいう、想いをまたしたりするんだろうか。
あんなふうに悩んだりしている暇がないだろうな、
なんて思った私はちょっとつまんない人間になったな
と、思ったりした。
親密な関係になる為に
自分の恋愛話を打ち明ける。
なんて思考回路をしていた、中学生の頃。
口を開けばガールズトーク。
昼休みの教室が妙に懐かしくなったりした。
浪人時代を一緒に過ごした友達と久しぶりに集まって出掛けた。
同じ学校にいたのにもかかわらず、
殆ど集まることなんてなかった。
やっぱりひと味違う居心地のよさがあった。
鷹の台の駅を降りると、人の波が収まるまで改札で
出て来る人の顔をみてから帰る癖がある。
これは、実家にいた時からの癖だ。
だれか友達がいないかを探しているのだけど。
ここに越して来た当初は、ここに私の知ってる人が
いるわけがないと、思うと寂しくなったりしたのを
最近思い出す。
鷹の台の駅で降りてくる人を目で追っている自分が
いるのに気がついた時、ここで4年間過ごしたことを実感した。
私はまた、知らない駅で、知らない人たちばかりが
出て来るのを眺めた時、自分の居場所の無さに
ぐっと寂しくなってしまうのだろうな。